新しい基幹システムを選定する際、多くの組織は複数のベンダーから提案を受け、機能一覧を比較することから検討を始めます。しかし、この進め方がうまくいかない場合が少なくありません。機能比較から入る前に、まず要件をどう整理すべきかを考えます。
機能比較から入ることの問題
ベンダー各社の機能一覧を並べて比較する方法は、一見客観的で分かりやすいように見えます。しかし、機能一覧は各ベンダーが「提供できること」を示したものであり、自社が「本当に必要としていること」を反映しているとは限りません。機能の多さに目を奪われて、実際にはほとんど使わない機能を比較材料にしてしまうと、選定の軸がぶれてしまいます。
要件を業務側から言語化する
機能比較の前に必要なのは、現在の業務のどこに課題があり、新しいシステムでその課題をどう解決したいのかを、業務側の言葉で言語化する作業です。「承認までに時間がかかりすぎている」「同じ情報を複数の部署で入力し直している」といった、現状の業務課題を具体的に書き出すことで、初めてシステムに求める要件の輪郭が見えてきます。この作業を飛ばして機能比較に進むと、課題の解決に直結しない機能に評価が引っ張られやすくなります。
要件に優先順位をつける
洗い出した要件のすべてを満たすシステムを探そうとすると、選択肢が極端に狭まるか、過剰に高機能で高価格なシステムを選ぶことになりがちです。要件には優先順位をつけ、「これがなければ導入の意味がない必須要件」と「あれば望ましいが妥協できる要件」を区別しておくことが必要です。この整理があることで、複数のシステムを比較する際にも、何を基準に判断すべきかが明確になります。
要件定義に現場を巻き込む
要件を整理する作業は、情報システム部門や経営層だけで完結させず、実際にシステムを使う現場の担当者を巻き込むことが重要です。現場が日々感じている業務上の不便は、管理側からは見えにくいことが多く、現場の声を反映しないまま要件を固めてしまうと、導入後に「現場が求めていたものと違う」という乖離が生じるリスクがあります。
まとめ
システム選定を機能比較から始めると、自社の課題解決とは無関係な軸で判断してしまうリスクがあります。業務側の言葉で課題を言語化し、要件に優先順位をつけ、現場を巻き込んで整理することが、機能比較の前段階として重要な準備になります。
