新しいシステムの選定が終わり、契約まで進んだ後に待っているのが移行作業です。この移行段階でつまずくケースは多く、選定そのものよりも移行の設計が導入の成否を左右することも珍しくありません。失敗しやすいポイントを事前に洗い出しておく観点として整理します。
データ移行の範囲をどう決めるか
移行作業でまず判断が必要になるのが、過去のデータをどこまで新システムに引き継ぐかという範囲です。すべての過去データを移行しようとすると、データ形式の違いを吸収する変換作業や、移行後の整合性確認に想定以上の時間がかかることがあります。一方で、必要なデータまで移行対象から外してしまうと、業務上の参照が必要な情報が失われてしまいます。直近の一定期間のみを移行し、それ以前のデータは旧システムを参照用として残すといった、範囲を絞った判断が現実的な選択肢になることがあります。
並行運用の期間設定
新旧システムを一定期間並行して運用することは、移行リスクを下げる有効な手段ですが、この期間の設定を誤ると別の問題を生みます。並行運用が長引くほど、現場は二重の入力や確認作業を強いられ、疲弊した状態が続きます。並行運用はあくまで移行のための一時的な措置であるという前提を関係者間で共有し、あらかじめ終了時期を決めておくことが重要です。
データの整合性確認を誰が担うか
移行したデータが正しく反映されているかどうかの確認作業は、想像以上に手間がかかる作業です。この確認作業を、システムの導入担当者だけに任せてしまうと、業務の実態を踏まえた確認ができず、見落としが生じやすくなります。実際にそのデータを日常的に扱う現場の担当者を確認作業に巻き込むことで、数字の整合性だけでなく、業務上の違和感にも気づきやすくなります。
移行後の問い合わせ対応体制
移行が完了した直後は、新しい操作方法に不慣れなことによる問い合わせが集中する時期です。この時期の対応体制を事前に準備しておかなければ、現場の混乱が長期化し、新システムへの不満につながりやすくなります。移行直後の一定期間は、通常よりも手厚い問い合わせ対応体制を用意しておくことが望まれます。
まとめ
システム移行で失敗しやすいのは、データ移行の範囲設定、並行運用の期間、整合性確認の体制、そして移行直後の問い合わせ対応という、いずれも選定段階では見落とされがちな運用面の設計です。これらをあらかじめ洗い出しておくことが、移行を円滑に進める鍵になります。
