SaaSを選定する際、機能が豊富であることは魅力的な判断材料に見えます。しかし、実際に導入してみると、契約時に評価した機能の多くが使われないまま契約だけが継続しているという状況は珍しくありません。なぜこうした事態が起きるのか、選定時に見落とされがちな視点を整理します。
機能の多さが選定の決め手になりやすい理由
複数のSaaSを比較検討する場面では、機能一覧の充実度が分かりやすい比較軸として扱われがちです。将来的に必要になるかもしれない機能まで含めて評価すると、自然と機能数の多いサービスが有利に見えてきます。しかし、この評価軸は「今の業務に必要な機能」ではなく「将来使うかもしれない機能」を基準にしているため、実際の利用実態とはずれが生じやすくなります。
使われない機能が生まれる背景
契約時に想定していた活用方法が、実際の業務では定着しないというケースは少なくありません。現場の業務フローに合わない機能や、操作が複雑で学習コストが高い機能は、便利そうに見えても実際には使われないまま放置されがちです。加えて、担当者の異動や退職によって、その機能を使いこなせる知識が組織内から失われてしまうことも、機能が使われなくなる要因の一つです。
利用状況を定期的に棚卸しする
使われない機能への支払いを防ぐためには、契約後も定期的に利用状況を確認する運用が必要です。多くの組織では、契約更新のタイミングで初めて利用状況を振り返りますが、その時点では既に長期間にわたって使われていない機能への支払いが積み重なっていることがあります。四半期や半期ごとに利用状況を確認する仕組みを持つことで、早期に契約内容の見直しを検討できます。
選定時に「使う機能」を絞り込む
選定段階でできる備えとしては、比較検討の軸を「機能の多さ」ではなく「自社が実際に使う機能」に絞り込むことが有効です。要件定義の段階で洗い出した必須要件に照らして、それを満たす機能を持つサービスの中から、価格や使いやすさで比較するという順序を徹底することで、使われない機能への投資を減らせます。
まとめ
SaaS選定で機能の多さを重視すると、実際には使われない機能への支払いが積み重なるリスクがあります。選定時には自社が実際に使う機能に絞り込んで比較し、契約後も定期的に利用状況を棚卸しする運用を持つことが、無駄のない契約につながります。
