経営会議で使われるダッシュボードには、多くのグラフや数字が並んでいるものの、実際にはその場での意思決定にほとんど寄与していない、という状況は珍しくありません。数字を並べただけのダッシュボードと、実際の意思決定に使われるダッシュボードの違いはどこにあるのでしょうか。
「見える化」と「意思決定に使える」の違い
ダッシュボード導入の初期段階では、まず既存のデータを可視化することが目標になりがちです。売上、コスト、稼働率といった指標をグラフにして並べること自体は達成できますが、それらの数字を見た人が次に何をすべきかが分からなければ、意思決定には結びつきません。見える化は意思決定の前提条件ではありますが、それだけでは不十分です。
誰が何を判断するためのダッシュボードか
意思決定に使われるダッシュボードを設計する出発点は、「誰が」「どのタイミングで」「何を判断するために」その画面を見るのかを明確にすることです。経営会議で使うダッシュボードと、現場の日次確認で使うダッシュボードでは、必要な粒度も更新頻度も異なります。この違いを意識せずに、あらゆる利用者に同じ画面を提供しようとすると、誰にとっても中途半端な情報量になってしまいます。
数字だけでなく比較対象を示す
数字を眺めているだけでは、それが良い状態なのか悪い状態なのかの判断が難しい場合があります。前年同期比、目標に対する進捗率、他部門との比較など、何らかの比較対象と併せて数字を示すことで、初めてその数字が持つ意味が伝わります。単一の数値を大きく表示するだけのダッシュボードは見た目の説得力はありますが、比較の軸がなければ判断材料としての機能を果たしません。
情報量を絞り込む勇気
意思決定に使われるダッシュボードのもう一つの特徴は、表示する情報を絞り込んでいることです。取得できるデータをすべて画面に詰め込みたくなる誘惑がありますが、情報量が増えるほど、利用者はどこに注目すべきかを判断する負荷を負うことになります。今回の意思決定に直結する数字を絞り込んで配置し、詳細を知りたい場合には別の画面で深掘りできるようにするという階層構造が、実用的なダッシュボードには必要です。
まとめ
意思決定に使えるダッシュボードを設計するには、誰が何を判断するために見るのかを明確にし、比較対象を併せて示し、表示する情報を絞り込むことが重要です。数字を並べることが目的化しないよう、常に「この画面を見た人は次に何をするか」を問い直す視点が求められます。
